2024年10月4日

ヤギトコ地下実験室

Yagitoko Underground Laboratory Web site

1959 GRETSCH 6120

Gretsch6120

店内に沢山飾ってあるGRETSCH Guitarの中の1本がこの1959年製 GRETSCH 6120です。

Brian Setzer氏が Eddie Cochranに憧れて16歳の時、新聞の広告から当時100$で手に入れた1959年製GRETSCH6120をStrayCatsのデビュー時代から愛用したことからロカビリー&ロックンロールの代名詞となったギターです!

僕は、このギターに10代のころから魅了されつづけ現在に到っております。

GRETSCHの魅力といえば、まず、見た目がロックンロールそのものという最高のルックスです!ホーロー・ボディならではのサウンドはロカビリー・ネオロカビリーに最高のサウンドです。

アンプ(BassMan)の前に立つと、音がギターのバックからギター全体に震動して身体に響いてきます、アンプとの立つ位置の違いで、聴こえてくる音も違ってくる。アンプから出た音がギターにフィード・バックしてきて、その音をピックアップがまた拾って、、自分が弾いてるサウンドの色付けをギター自身が意思をもって奏でてくれるような感じも魅力です。

ギターの鳴りが更に欲しいときはボディに音がぶつかるように立ち位置を少し変えてやったり、ソリッド・ボディのギターでは出せない太く奥行きのあるサウンドと、このグレッチギター特有の味のあるトーンが超魅力です! 

GRETSCH6120といっても現行もの、ビンテージもの、など色々と種類がありますが、究極のサウンドを求めるならやはりビンテージの1959年or1960年製のGRETSCH6120がベストですが、難点があります。沢山のマネーが必要なのとコンディションの良いビンテージを見つける難しさ、そして高額で貴重なビンテージの為、オリジナルの状態から手を加えれば加えるほど世間での価値が下がってしまい、更に音を良くする改造をする勇気が失せてしまう点ですね!古き良きアメリカの当時のままのオリジナルが大好きな方はドンズバのビンテージを! 音に拘る方(更に良い音に改造したい方)はビンテージものでも比較的値段の安いGRETSCHアニバーサリー(現行モデルのグレッチと同じぐらいの価格)がお勧めです。

アニバーサリーモデルでも現在のギターの木材より鳴りの良い木が使われており、1959年物は6120と同じボディーのブレージングですので改造すれば、6120に負けない究極の音を出すことも可能だと思います。コンディションの良いビンテージ探しや、改造がめんどくさい方は、現行のブライアンモデルのTVジョーンズピックアップ搭載のグレッチが良いでしょう!(TVジョーンズには、シルバーとゴールドのピックアップが有りますが何故だかゴールドの方が断然いい音がしました。音に拘るかたはゴールドの方を!) 

さて、ビンテージグレッチの話にもどります。 

ビンテージ物はギターに使ってる木材が現行ものより楽器として使うのに良い木材を使っております。

当時50年以上前は今より良質木材が豊富にあり良く鳴る木材を多くのストックから厳選して選べた時代だったようです。

なぜ1959年or1960年製かというと第1にボディ内部のブレーシング(補強材)の構造にあります。

1954年から6120は生産が始りましたが、1954年~1957年前期まではボディ構造は完全なフルアコでボディ内部のブレーシングは無い状態です。

この年代はピックアップはダイナソニックというシングルコイルのピックアップが付いておりました。

1957年後期からピックアップはレイ・バック氏がデザインしたピックアップの傑作、フィルタートロンが付きますが、1957年~1958年製のボディには多くのブレーシング(表板裏板のどちらにもピックアップの両脇に2本張られていて上下の補強材に挟まれるように2本のセンターブロックがあった)がほどこされておりボディトップの振動が押さえられてしまってボディトップが響が悪くなってます。

1959年から1960年製はブレーシングがライトになり裏板側に58年制では2本あったブレーシングが無くなり、ボディの振動が大きくなり鳴りも良くなりライトなサウンドで音が前に出る感じになったようです。

1959年製の前期までは、サイドのボディの厚さが6,8ミリのディープボディ、ディープボディの方がミディアムボディの物より裏板の膨らみのアーチが大きいのでサイドの厚み+裏板の膨らみの大きさがあるのでミディアムボディよりかなりボディの厚みが感じられ風格と貫禄を感じます。

59年後期からはボディ厚が6,3ミリのミディアムボディと呼ばれるサイズになります。

ちなみにBrianSetzer氏のメインギター6120の初代は1959年初期製のディプボディー、2代目のスティーブ・ミラー氏から譲り受けたメインギターと現在活躍中の3代目メインギターは1959年後期製のミディアムボディーです。

ディープボディーとミディアムボディーとのサウンドの違いは若干ミディアムボディの方が音がタイトな感じがします。

ミディアムボディーの方がネックが薄いので僕は握り易く弾き易く感じます。あと、搭載されてるBigsbyが1959年前期は、オリジナルタイプのBigsbyに対して1959年後期からは、GRETSCH社、特注のVカットBigsbyが、搭載されます。ルックスはディープボディの方が存在感、迫力があってカッコいいですが、59後期からのミディアムボディー期の方が、ボディトップやバック、サイドにまで美しいトラ杢{タイガー・フレーム}が出ている美しい木材を使って制作された個体が59前期より多く存在します。

市場の人気は、1959年製、前期の存在感のあるディプボディと、トラ杢の美しい後期のミディアムボディーの人気が高いですね!1960年製は、フィルタートロンピックアップのカバーに特許申請ナンバー{U.S.PAT 2892371}と印字され、ピックアップの音を拾う場所に使用されておりますマイナスネジの頭の長さが若干短くなります、その違いか?1959年製のピックアップカバーに{PATAPPLIEDFOR}と印字されているフィルタートロンの音の方が太い音に感じられてしまうのは気のせいでしょうか??それ以外は1959年後期と、ほぼ同じ仕様で制作されております。 

1961年製になるとボディ厚が5,1ミリとなり更に薄くなりネックジョイントが14フレットから14,5フレットと少し浅くなります。

62年製からはシングルカッタウェイのボディからプレイアビリティを重視してか、ダブルカッタウェイのボディへと変貌してしまいました。

フルタートロンピックアップとボディ構造のマッチングが究極に良かったのが1959年製、BrianSetzer氏がメインギターで過去に使っていたもの、現在使っているものが1959年製というのが59年製の価値観を更に上のせしていることも確かでしょう。

GRETSCH6120のスイッチ&ノブは、ギター左上部2つのセレクターが有ります。

上がトーンのセレクタースイッチで上下の切り替えでキャパの値の違うコンデンサーを切り換えることが出来ますセレクタースイッチをセンターにすることでコンデンサーを通さないスルーな状態にでき、トーンを変化させることができるセレクタースイッチです。下のセレクタースイッチは、出力ピックアップを選ぶことができるセレクターで、フロンピックアップ出力、フロント+リアピックアップ出力、リアピックアップ出力をセレクトできます。

ギター右下の2つのコントロールノブは、上がフロントピックアップのボリューム、下がリアピックアップのボリュームです。

右上のコントロールノブはマスタボリュームとなっておます。

Brianは、GRETSCH6120のトーンセレクターとギター右下2つのコントロールは使用しないので、通称ホットロッド配線と言われているボリュームとピックアップセレクターのみの配線に変更しております。

その他Brianのギターは0フレットが取り外され、フレットをジム・ダンロップ6105という太目のフレットに打ち直し、

ぺグをシュパーゼル(弦交換が簡単に行なえて弦をロックできる為チューニングが安定して、ぺグの重さが音の輪郭をハッキリさせサスティーンを伸ばす効果があります)に変更、

ピックガードを取り外し(曲:「SleepWalk」など、でボリューム奏法をする為にピックガードが邪魔になったものと推測します)、

ロックピンをシャーラーのロック・タイプ(ストラップの交換が容易に行なえ、ギターからストラップが外れるアクシデント防止、それに見た目もカッコいいですね!)に変更、

そしてノブをお馴染みのダイスノブに変更、

ナットは、最初期はブラスナットから始まり→牛骨ナット→カーボングラファイト→最終的にデルリンナットに落ち着いている。

ブリッジは初代メインギターは、スペースコントロールブリッジ(僕はこのスペースコントロールブリッジの醸し出すタイトで独特の響きのあるトーンが大好きなんです、ビンテージのスペースコントロールブリッジは重さに個体差があり軽めのブリッジの方が良い響きがしました。)に落ち着き、

2代目のメインギターは、60年代のGRETSCHのバーブリッジをStrayCats時代に使用、2代目もオーケストラ時代に入るとオーケストラとピッチ合わない為、Gibson製と思われるチューンOマチックブリッジを使用するようになる。

3代目のメインキターもピッチ調節の出来る同じブリッジ。ビグスビーはビンテージフィルタートロンピックアップにはビンテージビグスビーとのコンビネーションが最高です!TVジョーンズピックアップは、現行のビグスビーとの組合せで良いと思います。

ビグスビーのスプリングについて、ブライアンの現在のメインギターのスプリングは、通常のスプリングよりも強いスプリングに交換されております。

硬いスプリングの方がチューニングが安定する為らしいです。

スプリングも古くなると長さが短くちじんでくる為、ビグスビーがギターの弦を巻き込む長さが短くなり音にも影響が出ます。

短くなって来たら一円玉をスプリングの下に挟む対処方もございますが、新しいスプリングへ交換をお勧めします。

ギターの改造は各パーツとのバランスが大切です、ブリッジの重さ、材質、配線材(ネットで買ったウルトラギターワイヤーはビンテージのオリジナルワイヤーより良かったですよ!)、ハンダ(ALPHA社のAT-7076ハンダがビンテージのオリジナルのハンダより良かったです!)、スイッチ、ポット(グレッチのボリュームポットの変考を考えている方へ、僕は、スイッチクラフト社のポットの250Kの抵抗の物を仕様しております。

スイッチクラフト社では特別仕様グレコ用に300Kの抵抗のポットも発売されているのでこれもお勧めです!←この位の抵抗の方がビンテージに近い音がする気がします。

ビンテージポットの500kの抵抗の物も経年の変化で平均300Kの抵抗値まで落ちているとかいないとかという記事をどこかで読んだこともあります。)、ジャック(USAスイッチクラフト社製の軍用ジャックは音抜け抜群です。

これのビンテージ物は更に良いらしいです。)、など、ハイエンド(高品質)なものが各社から次々発売されておりますが、すべてのパーツをハイエンドなものに変更すれば、最高の音になるとは限りません、トータルバランスでどんな音になるか、自分の耳で判断しパーツを選択することだと思います。

色々と験して見る事が楽しいですよね!音の探求は、尽きることがございませんね。

*近年 クライオ処理パーツというものが登場しておりますが、あれも当方のGRETSCHに試してみたことがありましたが、残念な結果でした、ビンテージサウンドの美味しい音が削られてしまい面白くない音になってしまいました。

クライオ処理の無いパーツの方が音が暴れてくれてそれが結果的にビンテージの良い味を出すのかもしれません。

高価なクライオ処理パーツの購入を考えてた方の参考になれば幸いです。 

ビンテージサウンドといえば、50年代のチャック・ベリーのES-350Tのギターサウンド、チャリー・クリスチャンのES-150、T-BoneWalkerのES-150、ES-5などの箱物ギターもイイ音してますね!ビンテージ配線、ハンダ、ピックアップやブリッジ、テールピースのなどに使われてる金属の成分の割合、質量なんかも、あのビンテージサウンドに大きく影響を与えてるに違いないと思います。

*最近、思うんですが、理想の音に対するギターの割合って、アンプ側の割合のが絶対的に大きいです。

本当なら、アンプ側に最善を尽くしてからギター側に拘った方が予算的にも良い音に近づきやすいんですが、ギターマニアは、アンプは安物でも、ギターはビンテージの本物がいいって思っちゃいますよね。